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紡ぎ織る日々

暮らしに寄り添う手紡ぎ手織りの作品づくり それを支える日々の暮らしをお伝えできたらうれしいです。

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糸のみほとけ展


この夏 拝見した展覧会で 外せないのが、糸のみほとけ展。
奈良国立博物館のみの展示ですので、会期が法隆寺夏季大学の期間と重なっていたのは 私にとって大きな幸運でした。
東博の法隆寺宝物館保管の染織品も数多く出展され、初めて拝見するものもたくさん。 その上、宝物館の極端に暗い照明に比べ 今回の展示は明るくて見やすい‼︎
展示の中で最も感激したのは、天寿国繍帳。
天寿国繡帳には、長~い歴史があります。
そもそもは、聖徳太子のご逝去を悼み、妃の橘大郎女(たちばなのおいらつめ)が、太子が往生なさった天寿国のありさまを刺繍で表した帳(とばり)でした。帳は、垂れ幕、いわばカーテンのようなものですから、かなり大きなものだったようです。
制作された飛鳥時代 7世紀から年月を経る間に所在不明となっていた繡帳を、鎌倉時代に中宮寺の尼僧が法隆寺の蔵で再発見。既に かなり傷んでいたのでしょう。1275年に中宮寺の寺宝として、繡帳の模作(新繡帳)を制作し、開眼供養を実施したとの記録が残っています。
さらに年月は流れ…江戸時代1731年には、新旧繡帳ともに、破損が進み断片化していたようです。そこで、遺された断片を寄せ集め掛軸装にされました。その後、大正時代に 掛軸装から現在のような額装に改められ、保存のため中宮寺本堂から、奈良博へと寄託されています。
つまり、現在の天寿国繡帳には、飛鳥時代のオリジナルと鎌倉時代の模作が混在しているのです。普通に考えると、600年も後の鎌倉時代の模作の方が綺麗に遺っていると思われますが…現実には 飛鳥時代のオリジナルの刺繍糸や残欠の方ががずっと美しく遺っています。まさに、古代における染織技法の素晴らしさが 如実に感じられる作品の一つが天寿国繡帳といえましょう。
花弁の鮮やかな縹色、鳳凰や蓮華から化生する人、飛鳥時代特有の衣装を纏った人々など、1300年の隔たりが信じられないほどの色鮮やかさ! うっとり。
中宮寺さんにある天寿国繡帳のレプリカとは 全くの別物。
この実物が拝見できただけで 炎暑をおして奈良に来た甲斐があったと満足したのでした。

うだるような暑さの奈良。博物館前の池に鹿が入っているのを 初めて見ました。少しでも暑さをしのぐための生活の知恵でしょうか?

奈良滞在最終日には、夏季大学は自主休講。
春日大社の朝のお参りに参加し、若宮にもお参りさせていただきました。若い神職の方にお話を伺ったり、奈良町の蔵元を訪ねたり…。
念願だった十輪院にも伺えました。東博構内で最も古い建造物の校倉は、もと元興寺十輪院にあった経蔵というご縁があります。
画像は、みほとけでスタートした旅のラストを飾るに相応しい 十輪院の蓮華です。

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